小児歯科・矯正歯科

小児歯科

歯科治療が初めてのお子さんへの対応

初めての歯科治療は、誰にでも怖いものです。はじめは器具の説明をしたり、コミュニケーションを図りながら、少しずつ治療を行なっていくことをお勧めします。

乳歯は生え替わるから、きちんと治療しなくてもよいのではないかと考えていませんか?

小児の歯科治療は基本的には成人の歯科治療と変わりません。しかし、留意すべきいくつかの特徴があります。
  • 乳歯や萌えたばかりの永久歯は、大人に比べて虫歯になりやすく、また、虫歯の進行も速い。
  • 虫歯を悪化させ早い時期に乳歯を失うと、永久歯の歯並びや噛み合わせに悪影響を及ぼすことがある。
  • 乳歯は後続永久歯の萌出の影響で歯根吸収が起こり、十分な根の治療(根管治療)ができないため、予後が悪くなることが多い。
小児歯科
そのため、乳歯の虫歯治療をおろそかにして、多くの乳歯の神経を取らざるをえなくなった子供は、成長して永久歯に生えかわってもかなり劣悪な口の中の状態になります。つまり、小児の口の中の健康状態は、ある意味、成人してからの口の中の健康状態を決定していると言えます。小児の歯科治療はおろそかにできないのです。

小児の虫歯予防対策

  • 口腔清掃(歯みがき)
  • 糖質制限(甘い物を控える)
  • フッ化物の応用
  • シーラント
口腔清掃(歯みがき)について
虫歯予防のための歯みがきは、食後できるだけ早く行なって下さい。
時折、「食後すぐに歯を磨くのはよくない」といった情報を目にすることがありますが、それは間違っています。
そうした意見は、“食後直ぐは歯が脱灰(溶ける)して軟らかくなるので歯が削れてしまうとか、唾液による歯の修復(再石灰化)が十分行なわれなくなる”という理由のようですが、それは虫歯の成り立ちと、唾液のう蝕予防効果についての勘違いがあるのだと思います。
歯の脱灰(溶ける)は歯の表面から起こるのではなく、それより下層で生じるため、表層の石灰化度(硬さ)は低下しません。したがって、歯が削れることはありません。
また、唾液のう蝕予防効果には、①酸を中和する緩衝能と②再石灰化能がありますが、飲食直後のph(酸性度)が下がり脱灰(溶ける)が起こる時期は、緩衝能の働きがメインとなります。再石灰化は最低でも30分以上経過してから始まると言われています。
つまり、飲食直後に歯みがきをした方が食べかすなどの糖質を除くことができるので、酸性に傾いた唾液のphをより速く回復できますし、歯みがきの後も唾液は次々に出てきますから、歯の再石灰化も十分になされるのです。
仕上げ磨き
乳幼児はもちろんですが、小学校の低学年くらいまでは、本人が歯みがきをした後、お母さん(お父さん)が最後に仕上げ磨きをしてあげましょう。
歯みがきは意外に難しく、大人でもなかなかきちんと磨けていないのが現状です。仕上げ磨きでブラッシング効果を高め、口の中の清掃習慣を早いうちから確立することで、将来、口の中の健康状態を良好にすることができます。ほんの数分ですが、お子様とのスキンシップの時間にもなるかもしれません。
糖質制限について
虫歯予防には糖質制限、特に砂糖を含む食品の摂取に気をつけなければなりません。
間食で甘いおやつをゼロにするというわけではありませんが、食べる頻度やタイミングには注意が必要です。歯科医院で指導を受けることをお勧めします。
糖質の中でも、ショ糖(砂糖)は細菌が最も利用しやすく歯垢を大量に産生します。歯みがきを丁寧にしていても追い付かないくらい歯垢が産生され、そこから絶え間なく酸が放出されれば、乳歯や萌出したての永久歯はあっという間に虫歯になってしまいます。
フッ素の応用
フッ素の局所応用として、フッ素の歯面塗布、フッ素洗口、フッ素入り歯磨剤などがあります。
乳歯が生え始めてから永久歯が生えそろう中学生くらいまで、1年に2回フッ素塗布することで、虫歯予防効果が得られます。
フッ化物は虫歯になりにくい歯を作り(脱灰抑制作用)、歯の表面のエナメル質の再石灰化を促進し(再石灰化促進作用)、歯垢中の細菌が酸を作りにくくする(細菌の酸産生抑制)ため、虫歯予防効果があります。
シーラント
奥歯の噛み合わせの面には“裂溝”といって深い溝があり、そこは歯みがきをしても歯垢が取れないため虫歯になり易い場所です。その溝をある種の樹脂で埋めることにより虫歯を予防します。

矯正歯科

矯正治療はいつ始めたらいいの?

“矯正治療はいつ始めればいいのか”といった質問を時々耳にしますが、一般論としては、顎骨の急激な成長が見られる12~15歳くらいのいわゆる思春期がよいとされています。
この時期は、歯の移動が比較的容易にしかも急速に行え、第1大臼歯までの全永久歯がほぼ萌出しているため、矯正装置の装着や維持が容易になるからです。また、それ以前の時期に歯列不正や咬合異常を矯正しても、その後顎骨の急激な成長があると、再び歯列不正が生じる可能性があるからです。
しかし、症例によっては思春期以前に治療を行なった方がよい場合もあるため、症例ごとに判断していく必要があります。
歯科矯正

矯正治療は、虫歯や歯周病の予防や治療に効果的?

これまで、噛み合わせの悪さ(不正咬合)や歯並びの悪さ(歯列不正)は有害であるという考え方があり、虫歯や歯周病やアゴの関節の障害などの病気の原因になると言われていました。しかし、それらの病気と不正咬合や歯列不正との関連については、今のところ科学的に実証されていません。